2011.01.10

音楽の将来


今は BILL EVANS と JIM HALL の UNDERCURRENT をレコードで聴きながら、
珈琲を飲んでいます。

外は雪が沢山積もってます。嬉しいです。
あの雪を踏みしめるギシギシという音がたまりません。。


さて今日は、僕がとても尊敬する、フランスの経済学者で哲学者で、
昨今の金融危機を予測し、知の巨人と言われた、
ジャック・アタリさんが、音楽の将来について書いた文章を抜粋して、
ここで紹介したいと思います。


--


・音楽の収益性

私の予想では、今後無料化の勢いが増していくと思われる。
もはや覆水は盆に還らず、ストックされた音楽の利用料を一曲ずつ払うことに人々は同意しないだろう。
しかし彼らは、偉大なアーティストと時間を共有するというかけがえのない経験、
つまり公演に対してはお金を払う用意があるはずだ。

"メジャー"と呼ばれる大手音楽会社は、おそらく徐々に姿を消し、
コンサートのマネジメントをする会社が残るだろう。
マネジメント会社は楽器製作会社と共に、未来の大手企業となっていくはずだ。

音楽活動の実践者は増えつづけ、より多くの人が、自分をアーティストと見なすようになるだろう。
それだけでなく、別の道も開けていくはずだ。
あらゆる新しい技術を取り入れた斬新な楽器の誕生だ。
それによって新しい音色が生まれるだけでなく、
音楽とほかの分野の芸術の融合さえ実現するかもしれない。



・旅としての音楽

音楽、つまり感覚が存在しなかったら、残るのは雑音と静寂だけだ。
そして雑音と静寂しかなかったら、もはや生命は存在しない。
音楽がなくなったら、人類は消えてしまうのだ。

音楽の多様性が消えるとき、人類の多様性もまた消滅する。

芸術作品は本質的に旅に似ている。
この旅に意味を与えるひとつの方法が音楽である。
なぜなら多くの人にとって、旅とは何よりも生き延びる手段であるのに対して、
音楽はそこに詩的、空想的、美的な側面を付け加えるからだ。

一般的に、音楽は未来に現れるはずの社会の構造を反映している。
音楽とはまず、あらゆる宗教体験に必要な要素であり、
超越した存在に向けて精神を集中させるための手段なのだ。
その本当の実力は宗教儀式において発揮される。

つまり音楽は何よりも、個々の利害を超えて社会の合意と平和を作り出すために存在している。

音楽にメッセージ性を持たせる必要はない。
音楽自体がすでにメッセージなのだから。

革命以前の時代が多くの偉大な音楽家を輩出し、
全体主義の時代にはいまも昔も偉大な音楽家たちが抑圧されるのは決して偶然ではない。
彼らのメッセージは非常に強力だ。

音楽はまた孤独を癒し、他者の代わりを務める。

これからの時代、音楽はまったく違う方法で聴かれるようになるだろう。
ナノテクノロジーの分野では、「聴覚」という概念を大きく変化させる人工装置が作り出されるにちがいない。

音楽はいまよりもずっと広大な感覚の広がりの一部をなすようになり、
最悪の場合、人間を操作し、コントロールする、
軍楽よりもずっと強力な手段となるだろう。
しかしもっともすばらしい可能性として、激情を鎮め、
自己の超越を実現する手段にもなりうるのだ。


--


彼は、1977年に著書「ノイズ」で、すでにカラオケの出現、
次いで都会の放浪者による、誰にでもできる、
練習の不要なグループ即興音楽のための新しい楽器の発明を予告していた。
その時、ラップやスラムはまだ存在していなかった。


上記の文章をどう捉えるかは人それぞれだと思います。

でも、音楽がなくなったら、人類は消えてしまうのだ。

ジャック・アタリさんは、そう言い切ってます。



posted by Takaaki Suzuki at 19:04 | Comment(4) | diary